脳卒中を知る

脳卒中の原因と予防

脳卒中は、厚生労働省の人口動態統計では、がん、心臓の病気、老衰に次いで、4番目の死因となる病気です。

また、寝たきりになってしまう一番の原因は脳卒中です。
脳卒中を発症したために、今までの生活が奪われてしまうことも少なくありません。脳卒中を予防することは、健康寿命を延ばし、生活を守るための大切な道です。
脳卒中になってしまう原因を知り、発症予防のためにできることをしていきましょう。

高血圧

脳卒中は血圧が高い人に起こりやすいです。
高血圧の人は、脳の血管に常に強い圧力がかかり、脳の血管が傷つきやすくなります。そのため、脳の血管が詰まったり、破れたりする可能性が高くなります。家庭でリラックスした状態で測る血圧のことを「家庭血圧」と言いますが、上が115未満、下が75未満なら正常血圧です。家庭血圧の上が115を超えると、注意が必要です。
血圧が高めの人は、かかりつけ医療機関にご相談ください。血圧を下げるための薬を処方されたら、自己中断はしないでください。

糖尿病

糖尿病を放置すると、血糖値が高い状態が続き、そのことが原因で動脈硬化を引き起こしやすくなります。
動脈硬化になると、脳の血液の巡りが悪くなり脳梗塞を発症します。高血糖の状態が続くと、視力の低下、手足のしびれ、腎臓機能が低下してしまうなど合併症も多くなります。糖尿病、または隠れ糖尿病と言われた場合は、かかりつけ医療機関の指示に従い正常な血糖値(空腹時血糖130mg/dL未満)を維持するように努めましょう。

不整脈

規則正しく動いているはずの心臓に何らかの障害があり、脈のリズムが乱れることを不整脈と言います。
その一つに、「心房細動」という注意が必要な不整脈があります。心房細動は、心臓の一部である心房が不規則に震える状態のことで、血のかたまり(血栓)ができやすくなります。この血のかたまり(血栓)が、心臓から飛び出して脳の血管に流れると脳の血管がつまり脳梗塞が起こります。動悸がして息苦しい、胸に違和感がある、立ちくらみがある、脈が乱れている場合はかかりつけ医にご相談ください。
自分で脈をチェックすることで、不整脈を見つけることができます。

自己脈のチェック方法

親指の付け根の骨の内側に人差し指・中指・薬指の3本を当てる
正常時は1分あたり60〜100回です。

脂質異常症

血液中の悪玉コレステロール(LDLコレステロール)や中性脂肪が多くなったり、善玉コレステロール(HDLコレステロール)が少なったりする状態をいいます。
脂質異常症の人は、動脈硬化が進みやすくなります。医師から脂質異常症を指摘されたら、すぐに治療を始めましょう。食事や運動、喫煙など生活習慣の改善が大切なポイントです。コレステロール値が高い場合は、薬による治療が必要です。

【以下、3つのうち1つでも当てはまると脂質異常症と診断】
  • 悪玉(LDL)コレステロール:140mg/dL以上
  • 中性脂肪:150mg/dL以上
  • 善玉(HDL)コレステロール:40mg/dL未満

喫煙

喫煙により、体内に吸収された毒性の強い化学物質のせいで血管が細くなり、血液が固まりやすくなります。
その結果、動脈の内側が狭くなり血のかたまりが増えていくため、禁煙が大事です。少しずつ減らす、1日1本にする、軽めのタバコにするだけでは禁煙はできません。また、加熱式タバコや電子タバコも健康面への影響がないわけではありません。禁煙は、あなたの体と周囲の人を守ります。

肥満

体重と身長から算出される体格の指数をBMI(Body Mass Index)と言います。
BMIは体重➗身長(m)➗身長(m)で計算され、BMIが25以上だと太りすぎです。
BMIが25以上だと糖尿病や脂質異常症、高血圧などの生活習慣病になるリスクが2倍以上と言われています。
生活習慣を見直して、減量をしましょう。

塩分

塩分の摂りすぎは、高血圧の原因の一つです。
塩分をたくさん摂ると、血液中のナトリウム濃度が高まります。それを薄めるため、体が水分補給を指示します。すると血液の量が増え、その血液を押し出すため、心臓がより近い力で血液を押し出すことで、高血圧になります。塩分を控えることで、血圧が下がる効果を期待できます。普段の食事から、減塩を心がけることが大切です。醤油や味噌などの調味料の塩分だけでなく、漬物や佃煮、練り製品、ハム、ソーセジや干物などの加工食品にも塩分が多く含まれます。食品のパッケージに記されている栄養成分表示を参考にしましょう。

栄養成分表示の例

出典:脳卒中予防・発症時対応啓発動画
第8話 脳卒中予防8より
1日の塩分摂取量目安
  • 男性7.5g未満
  • 女性6.5g未満
  • 高血圧がある人6g未満
食品に含まれる塩分
  • カレーライス 3〜4g
    カレーライス 3〜4g
  • ラーメン 6g
    ラーメン 6g
  • うどん 5g
    うどん 5g
  • にぎり寿司1人前(醤油込み)5.5g
    にぎり寿司1人前(醤油込み)5.5g
  • みそ汁1.5g
    みそ汁1.5g
  • ご飯0g
    ご飯0g

飲酒

アルコールの過剰摂取は、脳卒中になる危険性が高まります。
1.5合以上の飲酒は、脳卒中の発症率が増大します。
また、アルコールはカロリーも高いため、肥満にも繋がります。1日の適量を守ることを心がけてください。

1日の摂取量目安
  • ビール 中びん1本(500ml)
    ビール
    中びん1本(500ml)
  • 日本酒 1合(180ml)※焼酎は半分量
    日本酒
    1合(180ml)
    ※焼酎は半分量
  • ウイスキーダブル1杯(60ml)
    ウイスキー
    ダブル1杯(60ml)
  • ワイン グラス2杯(240ml)
    ワイン
    グラス2杯(240ml)

運動

運動習慣がある人とない人を比べると、脳梗塞が起きるリスクは約1.6倍違います。
また、運動の習慣は、肥満や脂質異常症の改善、高血圧や糖尿病の改善にも効果があります。運動習慣がない人は、まずは歩くことから始めましょう。

1日の目標
(厚生労働省 健康日本21より)
  • 20〜64歳 
    男性9000歩 女性8500歩
  • 65歳以上 
    男性7000歩 女性6000歩